腕時計ブランドとしてスポーツ系専門時計とスーツ系は欠かせないカテゴリーで、男性用と女性用に重きを置いているブランドもあるかもしれませんが、スーツ系やスポーツ系だけでは長続きしません。世界で最も有名で優秀なロレックスでさえ、スーツ時計をいくつか生産することでブランド全体のバランスを保つことは、消費者の多様なニーズに応えることができず、顧客を失うことを防ぐことにもつながります。
たとえば、ロレックスはスポーツウオッチ(あるいはプロウオッチ)の世界ではトップブランドであり、潜水者型、探検家型、デイトナなど、誰もが知っているスポーツウオッチを数多くラインナップしています。ログタイプ、曜日カレンダータイプ、生産中止になったチェリーニタイプ、恒常性1908タイプなど、ベーシックなものやシンプルなデザインのクラシック系のマイナーモデルも持っています。しかし、ログ型でも曜日カレンダー型でも、ベーシックな機能系はスーツとして扱われても、チェーンの動きやデザインの問題から「スーツ」としては物足りなく、2020年を最後に2023年で生産終了となるチェリーニ型だけがスーツのすべてを備えています。そして先ほどの恒動1908型は、2023年からロレックスが展開してきた、バトンチェリーニーシリーズがスーツウオッチの分野に特化した新しいシリーズとなっています。